‥‥創工房 花繭のあゆみ‥‥
《 倭文の養蚕 》
明治維新の殖産勧業政策の基に養蚕は、画期的な技術革新を遂げ、我が国の主要輸出産物として日本経済の飛躍の礎となりました。
倭文に現存する築160年の古民家(元治元年造)の建築様式にその養蚕の旺盛な時代を偲ぶことができます。
その古民家当主黒瀬家六代精一正勝が、久米北條郡(現津山市戸脇)に久米社(養蚕生産組織)を起業し、傍らに酒造業を営みながら養蚕振興に尽力し、地域経済の発展に寄与した事が伝えられています。当地域に隣接して、桑上、桑下、錦織の地名を残し、古代より養蚕が営まれていたことが偲ばれ、気候風土が養蚕に適していたことが、明治の産業化を発起させたのでしょう。
戦後、強靭なナイロン繊維の普及、安価な中国製生糸が世界市場を席巻し、我が国養蚕は、全国的に姿を消しました。
《 養蚕の再興 》
現代、養蚕から生産される“繭”は、良質な絹糸を生産する服飾、天然化粧水を抽出する美容から人工血管の素材としての医療まで幅広い分野での活用が期待されています。
私たちは、古民家の佇まい、残る蚕具より古人の暮らしに想いを馳せ、手探りで桑を育て、蚕を飼育し、繭を生産しながら養蚕の再興を想起し、将来的に地域の特産物として、後世に残す活動を始めました。
• 2017 桑園整備(1100本苗木植栽)
• 2019 養蚕開始(コンパクト飼育考案)
• 2020 セリシン抽出(化粧水:原三郎博士指導)
• 2022 桑茶製造(自然乾燥法)
• 2023 創作房“花繭”開設
《 創作工房 花繭(はなまゆ) 》
ネット情報により“花(はな)繭(まゆ)”の存在を知り、私達の活動に活かせないかと思案し、早速、情報元の新潟県村上市“朝日村まゆの花の会”を訪問し、製作技術の習得を行いました。
天然素材の繭(まゆ)の特性から、幾重にも纏(まと)った繭(まゆ)殻(がら)を一枚一枚剝がし、それぞれの花の持つ花弁・がく片の形を切り取り、重ね合わせて花を造り、生花を具象表現すると共に、色相・造形美を追求して抽象表現も試み、皆様の生活に、そっと寄り添う「花繭」を創作に取り組んでいます。